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親父は薄かった──でも、オレはいま山を走ってる
オレの親父は、若いころから額が広かった。
30代の後半には、帽子をかぶることが増えてたし、たぶん本人も気にしてたんだと思う。
そんな親父の姿を、子どもの頃のオレはぼんやり見てた。
大人になって、自分の額を鏡で見るとき──ふと、その記憶がよみがえる。
「オレも、いずれ…」って。
でも、そのたびに思うんだ。
──オレはいま、山を走れてる。
汗をかいて、風を受けて、太陽を浴びながら。
まだ、髪は残ってる。頭皮も元気だ。
「親父がそうだったから、オレもそうなる」って、決まってるわけじゃない。
そう言い切れるのは、いろんなことを“感じてきた”からだ。
薄毛の“遺伝子”って本当にあるのか?知識と体感のあいだ
まず、大前提として。
薄毛には遺伝の要素がある。それは事実。
特にAGA(男性型脱毛症)ってやつは、5αリダクターゼっていう酵素が関係してる。
この酵素の働きが活発な人ほど、DHTっていう悪玉ホルモンが増えて、毛根にダメージがいくんだ。
で、この酵素の活性度合いは、ある程度「遺伝」で決まる。
しかも、母方からの遺伝影響が強いって言われることもある。
…とまあ、ここまでが“理屈”の話な。
でも、オレが知りたいのは“体感”だ。
たとえば、親父とオレは、確かに血がつながってる。
だけど、同じ時間を同じように生きてるわけじゃない。
親父は夜遅くまで働いてた。栄養も偏ってた。タバコも吸ってた。
オレは、山を走ってる。湯を飲み、野菜を食って、陽を浴びてる。
「オレたちは、ちがう」
それは、ただの願望じゃない。毎日の積み重ねが、“頭皮の未来”を変えていくって、オレは信じてる。
生活が頭皮を育てる──運動、食事、ストレス、それぞれの重み
髪の毛って、体の外にあるくせに、すごく“内側”を映すんだ。
運動をサボってた時期、なんとなく頭皮が重かった。
食事が乱れてたとき、脂が増えた。枕がべたついてた。
ストレスで眠れなかった夜、朝の髪がペタンとしてた。
逆に、登山や筋トレで汗をかいたあとは、頭皮が軽い。
バランスのいい食事を意識してると、髪のまとまりが変わる。
朝日を浴びる生活が続くと、全体的に“毛が元気”な感じがある。
科学的な数値じゃなくていい。
自分の“感触”を大事にすると、頭皮はちゃんと応えてくる。
オレはそれを、“風の通り方”で感じてる。
抜け毛や薄毛は「遺伝」って言葉ひとつで片付けられがちだけど──
その火種に、どう火をつけるか。
どう守るか。
それを決めるのは、オレたち自身だと思ってる。
遺伝と戦わない──“火の継ぎ方”を見てきた仲間の話
オレの仲間にも、親がけっこう薄毛なやつがいる。
でも、そいつ自身の髪は、しっかり残ってる。
理由は単純──ちゃんと整えてるからだ。
その仲間は、風呂のあとにきちんとドライヤーをかけて、頭皮マッサージもしてる。
シャンプーも成分に気を遣ってるし、脂っこいものを避けて、ちゃんと湯を飲んでる。
週に何回かは軽く走る。汗をかく。寝る時間を乱さないようにしてる。
「親父が薄毛だったから、余計に怖くてさ」って、そいつは笑ってた。
でも、その“怖さ”を放っておかずに、ちゃんと行動してる。
その積み重ねが、今の髪を守ってるんだ。
オレは見てて思った。
「遺伝って、戦うもんじゃなくて、“扱うもん”なんだな」って。
たしかに“火種”は受け継ぐかもしれない。
でも、火の継ぎ方を選ぶのは、自分だ。
燃やすのか、消すのか。
その選択権は、いつも手の中にある。
サクロウの結論──遺伝は“種火”。でも火をどう扱うかは、自分次第だ
オレの答えは、こうだ。
「薄毛は、遺伝だけじゃ決まらない」
たしかに、スタート地点としての“体質”はある。
でも、それがすべてじゃない。
火種は受け継がれても──炎のかたちは、生き方が決める。
どんなに良い遺伝でも、無視すれば燃え尽きるし、
どんなに不利な遺伝でも、丁寧に整えれば守り抜ける。
親父からの火種があってよかった。
だからこそ、オレは“自分の火”を見つめられた。
あとは、それをどう扱うか。
風を受けながら走るたびに思う。
髪も心も──手入れして、育てて、生かしていくもんなんだって。
遺伝がくれた“きっかけ”を、自分の“選択”で未来に変えていく。
それが、オレの今だ。
伝言と問いかけ──「その火、まだ守れてるか?」
この記事を読んでくれてるあんたにも、たぶん“気になる瞬間”があると思う。 鏡の前で立ち止まるとき。 風が頭頂部を通りすぎるとき。 帽子をかぶるとき、ちょっとだけ理由を探してるとき。
──その火、まだ守れてるか?
親から受け継いだもの。 それが希望か、不安か、プレッシャーかは、人それぞれだ。 でも、“それをどう扱うか”を選べるのは、今のあんただけなんだ。
遺伝を理由にあきらめるのは、たぶん早すぎる。
火種を大切に扱えば、ちゃんと燃える。 明かりになる。温もりになる。
それが髪でも、心でも、どっちでもいい。 大事なのは、“生き方”だ。
オレはこれからも、風の中を走る。 風が吹いても、汗をかいても、帽子を脱いでも、怖くないように。
オレの火は、オレが守る。
そして── あんたの火も、きっと、守れると思うんだ。
信じて続けろ。 それが、サクロウの伝言だ。